効率的な介護ヘルパーの勤務シフトの作成と運用のポイント
サービス提供責任者(介護職員実務者研修修了者)が担う仕事は人事管理が主になりますが、その中でも現場介護ホームヘルパーの勤務シフトの管理と、利用者のサービス希望日時の調整が業務割合の多くを占めます。
現在では介護サービス利用者の要望も多様化し内容や日程や時間も様々な希望があります。
このような状況に合って、事業所では勤務形態が常勤・非常勤・臨時など様々な介護ヘルパーを、利用者の状況・要望にマッチングさせて、最適なヘルパーを振り当てていくことは、介護サービスの質をアップし利用者満足度を向上させ、介護事業の経営を安定させて事業を伸ばしていくためにも重要な仕事になります。
実際の現場では、利用者からの苦情よりも突然介護ヘルパーが遅刻したり休んだりすることで、介護業務に支障が発生し訪問介護先の利用者とトラブルに発展することもあるので、勤怠管理についての問題が多くのサービス提供責任者の悩みの種となっています。
ですが、必ず遅刻・欠勤の問題は発生するので、サービス提供責任者はこのような状況が発生した場合に、いかに適切・迅速に対処できるかという能力が要求されます。
仕事の特性上、同じ施設内で働いている施設介護と違い訪問介護の場合、円滑な勤務シフトや派遣を行うには、現場介護ヘルパーとサービス提供責任者、場合によっては利用者とも、いかに信頼関係がお互いに構築されていて、日頃からまめに上手くコミュニケーションが取れているかが大きなポイントになってききます。
サービス提供責任者の責任として、介護ヘルパーの現場での実際の仕事ぶりや利用者の家庭状況をどれだけ詳しく認識しているかということが、介護訪問スケジュールの様式や伝達方法を標準化するか以上に重要になってきます。
結論として、介護ヘルパー、利用者、管理者の3者間のコミュニケーションが最も重要で、介護業務という煩雑な仕事環境の中においても、常日頃からこまめな連絡やコミュニケーションを取っておくことで、無理のない勤務シフトや人員配置スケジュール作りに繋がってきます。
介護ヘルパーとは、きめ細かなコミュニケーションを図りスケジュールをしっかり把握しておけば、突然急用で欠勤し人員不足に陥った時でも冷静に対応することができます。
介護ヘルパーヘの適切な仕事の指導方法
一番重要な介護ヘルパーの人材管理業務の中で最も肝心であるのに徹底できないのが、実務に直結した介護技術教育や研修です。
介護資格を取得しているだけでは、プロの介護士になれないのはまぎれもない事実です。
介護サービスの質をアップさせていくためには、現場の介護ヘルパーに対して、OJTなどの観点からヘルパー研修を継続して計画的に実施していくことがサービス提供責任者の責任でもあります。
現場の介護ヘルパーたち技能や資質向上のための教育手段としてケアカンファレンスやスーパービジョンを活用するという方法もあります。
サービス利用者宅で実際に起こった実例を参考にして、介護職員が一堂に集合し、適切な対応や支援方法について検討を行う会議をケアカンフアレンスと呼びます。
サービス提供責任者は、ケアカンフアレンスに於いてスーパーバイザー(援助指導者)の立場で指導的な役割を担うことが求められ要となる大切な仕事です。
スーパービジョンでは、介護ヘルパーから責任者が悩み事や苦慮していることを聞き出し、実務で起こっている事例を題材にして適切なアドバイスを行い今後の仕事の方向性を示していきます。
指導方法には、次の2つの方法があります。
- ティーチングとは、先生と生徒という上下関係になり、トップダウン方式で、知識や技能を有している者が無いものに対して教育指導を行う方法です。
- コーチングとは、コーチとクライエントという立場で対等な関係になり、コーチはクライエントの意見や考えを積極的に傾聴しクライエントの潜在能力を引き出し、気づきを与えるように導いていく方法です。
ここでは、介護の仕事への動機づけを行ったりヤル気を起こさせるために、現実と理想との狭間で追い詰められ心が折れそうになっている介護ヘルパーの本音を引き出し、ヘルパーにとって最適な方向性を指し示すという役割があります。
研修・指導時には、サービス提供責任者は介護職員からじっくりと悩みを引き出し的確な方向づけを行うことも仕事の重要ポイントです。
クレーム・緊急時対応のポイント
ヒヤリーハットという言葉は、一般企業でも安全管理でよく使用されており、ご存知の方も多いと思います。
介護の仕事でも、特に入浴介護では入浴前後の利用者の体調について注意深く観察し、きめ細かにチェックすることが重要ですが、この他にサービス提供責任者の重要な仕事として、事故などの緊急時に迅速で的確な対応を取ることや利用者からのクレーム対応などがあります。
よって、各事業所では苦情や事故が発生した場合を事前に想定した緊急時対応マニュアルや苦情処理フローなどを定めて具体的な対応システムを構築しておくことが必要です。
次のような事例に対して対応する手順や具体的な対処方法をあらかじめ明確にしておくことが大切です。
- 訪問先利用者の意識が入浴中になくなった場合の対応方法
- 利用者の心肺機能が停止した場合の介護ヘルパーの対応方法
- 食事をのどに詰まらせた場合のの対応方法
- 居宅で利用者が転倒事故を起こした場合の対応方法
サービス提供責任者は、事故などの緊急事態が発生した後は事故防止策とともに、その経緯を記録に残し次に活かせるよう改善していく為にも、対処の仕方や仕組みづくりを行うことも重要な仕事になります。
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