訪問介護事業所で働く介護職の業務日程と仕事内容

チーム連携して仕事を行うので、互いにフォローし合える

 介護事業を担当する正規職員が十数人の都内にある訪問介護事業所では、4人〜5人で各班を作りに数班に分かれて介護サービスを行っており、班ごとに1人の班リーダーがいます。

8時半くらいに仕事が始まるとユニホームに着替え9時からは全体朝礼、次に班ごとに朝礼を行い、当日のスケジュールを班のスタッフ全員で確認し、連絡事項を伝達したりします。

朝礼終了後、班リーダーは少しの空き時間を利用して、いつ、どこに、どの介護ヘルパーに訪問してもらうかを決定し連絡を行いますが、間違えないように細心の注意を払います。

訪問介護職員の班リーダーには、サービス提供責任者としての責任を担っている場合もあり、次のような業務を担当しています。

  • 契約時の状況確認
  • 契約の締結
  • 定期訪問しサービス提供状況を確認
  • コーディネート業務
  • 関連スタッフへの連絡
  • 請求業務

 現場の訪問介護サービスは、100人程度の登録ヘルパーが行っていますが、正職員も可能な限りは訪問介護サービスを担当しています。

日頃からどの業務にも関わり、班でチームを組んで仕事をするため、常に情報共有され連携して業務あたるので、やむを得ず突然休んでも互いに協力し合ってカバーできる体制を組んでいるところも多くあります。

都心での移動は小回りがきく自転車が多い

 訪問介護で初回同行がある場合は、訪問初日にサービス担当責任者が介護ヘルパーに同行して確認事項を説明しながら介護サ−ビスを共に行うことになります。

ちなみに、初回同行とは、利用者との契約後、訪問初日に介護ヘルパーに同行して、必要な注意事項などを伝達しながらサービスを行う業務のことを言います。

 都心などの訪問介護事業所では、訪問者宅が自転車で遠くても30分程度で行ける圏内に利用者宅があるので、各事務所内に用意されている自転車を使って利用者宅へ訪問するケースも多くあり、雨が降った日は雨ガッパを着用して自転車で訪問します。

車ではなく自転車を利用するのには、次のような利用メリットがあり自動車より早く訪問先へ到着することもあります。

  • ガソリンなどの経費が不要
  • 渋滞などの交通事情に影響されない
  • 駐車場が不要
  • 細い小道でも走れる

 12時くらいになると休憩に入り、弁当を持参したり買って食べたりして、13時からの勤務開始までは自由に過ごせます。

訪問介護職員の勤務時間は、8時半から18時くらいまでの範囲で原則日勤になります。

日曜日は休みで週休2日の事業所も多くシフト勤務もほぼなく、時々土曜日・日曜日に出勤する場合もあるようですが残業はありません。

利用者の契約サービス内容などの情報共有はすごく重要

 利用者と契約する場合は、利用者本人とその家族、ケアマネジャーも同席してもらい、利用者の現状をチェックし、契約内容を説明し納得してもらってから契約書にサインしてもいます。

会社概要や事業内容、個人情報保護法などについて契約時にはしっかりと説明を行い、サービス内容も確認します。

実際の介護サービスでは、利用者と契約したことしか提供することができないので、サービス内容は入念に確認し、さらに利用者から追加サービスの要望がないかを聞き取り、あればケアマネジャーと相談し追加することもあります。

いざ介護サービスを行う段階に入ると、利用者のために何でもお世話をしてあげたくなりますが、それをやりだすと、エスカレートし収拾がつかなくなる場合もあるので、どこまで介護サービスを提供するかは、きっちりと線引きすることが大切になってきます。

通常、一つの班で利用者100人くらいを担当していますので、全員のことを自分だけで把握することは困難です。

なので、班内でスタッフ全員が情報共有しておくことが、すごく大事になってきます。

介護報告書や記録の作成も重要な業務

 契約が完了すれば、利用者ごとに書類を整理し、利用者の訪問介護計画書を作成したりします。

初回サービスの場合は、ケアマネジャーヘ訪問介護計画書内容を報告する必要があります。 初回同行や契約締結は、ケアマネジャーが担当します。

どこの施設のケアマネジャーも大変忙しく、電話しても連絡が付かないし、すぐには動けない事が多いので、急用以外はメールやファックスで送信しておくことが多くあります。

また、多くのケアマネジャーと仕事をしている場合は、送付先を間違えないように注意が必要です。

 班リーダーになると、事務所で仕事をしていても利用者、家族、介護ヘルパー、ケアマネジャーなど、電話があちこちからかかってきますので、相手は誰かを判断して、正確に用件を聞き把握することは、最初の内は案外とむずかしいようです。

介護ヘルパーヘの連絡してほしいという電話であればチームで連携し動いているので、正確・迅速に連絡することが必要になります。

 夕方から定期サービスを行う場合は、自転車で利用者宅を訪問し、食事介助やトイレ誘導を行い、着替えを補助し身体をふいたり入浴介助を行います。

サービス終了後に事務所に返ると、今日行った介護内容や利用者の状況を記録します。

通常、夕方には全体や班での終礼が行われ口頭での伝達事項がありますが、出席できない場合は、介護記録に記入してある伝達事項を確認し班内で情報共有します。

ありがとうという一言でうれしい気持ちに

 高齢者介護の仕事をしていると、施設でも在宅でも認知症の方が多くなっているので、何回も訪問しているのに「あなたは誰?」という反応をされる場合もあり、覚えていてくれる場合もあります。

特に、高齢者は、自分の思いや感情をストレートにぶつけてくる方も多く、機嫌が悪い時は露骨に嫌だという表情をして「帰って」ときつく言われることもあります。

しかし、「いつも来てくれてありがとう。」と感謝の言葉を投げかけられたときは、私たちが何気なく日常でいう言葉とは全く重みが違います。

介護の仕事は、このように簡単な一言でも利用者から心に響く言葉で声をかけてもらえる積み重ねがあるという点が、他の仕事とは一味違う職種なのかもしれません。

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