介護福祉士の将来性と資格のメリット、介護業務関連資格の概要

介護福祉士の将来性について

 介護福祉士の資格制度は、ゴールドプランでの各種政策や2000年に施行された介護護保険制度の前から行われており、多くの介護人材を輩出してきました。

介護福祉士資格取得者数は、2000年度に約22.3万人、2004年度に約42.7万人、2010年度に約91.0万人、2013年度に約119.6万人、2016年度に約150.36万人に達し、最近は毎年10万人前後のペースで増加しています。

 介護保険制度は2000年にスタートし、2004年度には社会保障審議会介護保険部会で見直し作業がスタートし、この検討結果を基に、2006年度には次のような内容で改正介護保険法が施行されました。

  • 介護サービスの質の確保と更なる向上
  • 介護保険制度の運営方法などの見直し
  • 財源である保険料の負担方法の見直し
  • 保険給付の効率化と重点化
  • 新規の介護サービス体系の確立

 その後、介護保健制度は改定が何回も行なわれ現在に至っていますが、少子高齢化は全く解消されず、むしろ高齢化が進むばかりで超高齢社会という状況に陥っています。

このような影響で、要介護者が急増する一方、介護を担う人材は慢性的に不足し続けており、介護福祉士をはじめとする介護職の需要は高まるばかりです。

2017年に入り、深刻な介護人材不足を補うために、介護未経験者を対象とした全国統一の入門研修制度の導入など介護資格の見直しが検討されています。

この研修制度は、介護職員初任者研修の下位に位置付けられるもので、研修時間は40時間程度と130時間の研修が義務付けられている初任者研修より短い時間で介護の基礎知識や基本技術を習得できるようにしようとするものです。

また、介護福祉士の上位資格として介護福祉士のリーダー役を担う見込みの認定介護福祉士の資格制度の導入も検討されています。

しかし、介護福祉士の有資格であっても各自のスキルや介護職としての資質も差があるので、介護のプロとして職責を果たせるよう介護福祉士としての能力向上及び資質向上が、今後も求められていくことになります。

このように介護人材を確保するため、具体的対応策が検討されていることから考えても、介護福祉士のニーズは今後も増大していくことが予想され、資格については人材数を確保すると共に質への転換も迫られています。

介護福祉士の資格取得のメリットとは

 介護福祉士資格を取得することで、高度な介護知識や技能を保有していることを証明でき、次のようなメリットを享受できます。

  • 自己の能力を客観的に評価でき、仕事のやりがいに繋がります。
  • 仕事の幅や活躍できる職域が広がります。
  • 責任感が増すことで、職場での地位や立場が高まります。
  • 職域が広がることで、医療・保健・福祉など他分野の専門職とのネットワークや人間関係を築くことが出来ます。
  • 利用者やその家族からの信頼度が向上します。
  • さらに見識や視野が広がりより高い介護技術を習得しようという自己啓発にも繋がります。

 介護に従事する場合は経験から得た知恵以外にも、理論的根拠に基づいた介護技術、社会的教養、人間的資質なども必要になります。

そのため、介護福祉士の国家資格を取得することで、高度で専門的な介護に関する力量を有していることを公的に証明できるという点では大きなメリットとなります。

また、介護福祉士資格取得によるメリットは求人広告の給与や現場での収入アップにも表れており、介護福祉士の職場は施設サービスや居宅サービスなど広範囲に広がっています。

介護福祉士の能力の高さは、介護職員初任者研修取得後、介護職員実務者研修を取得し、3年以上の介護実務経験を得ていないと受験する資格もないことや、介護福祉士養成施設での履修総時間数の多さからも明らかです。

但し、介護福祉士の資格を取得していなくても介護業務に就くことは可能で、これを名称独占資格と言います。

 一方、医療行為を業務として行う場合は、看護師や医師の資格取得が法的に義務化されており、それ以外の者は行うことができず、これを業務独占資格と言います。

業務独占は、医師・看護師・弁護士などの国家資格を取得している者しか業務を行えないことをいい、資格を取得していない者がその業務を無断で行えば法律違反で罰せられることになります。

名称独占は、社会福祉士や介護福祉士などの資格を所有していなくても福祉や介護業務を行えますが、資格保有していない場合は、資格取得者だと他人に名乗るような行為や名刺に記載するなどの詐称行為を行えば、違法行為と見なされます。

介護業務に関わる資格の種類と概要

資格 研修内容 受講対象者 時間数
ホームヘルパー
養成研修1級
主任職などの基幹ヘルパーの養成研修 2級修了後、就業期間1年以上、かつ業務従事日数180日以上ある者 230時間
ホームヘルパー
養成研修2級
ホームヘルプサービス事業従事者の基本研修 訪問介護サービス事業に従事している者または予定者 130時間
ホームヘルパー
養成研修3級
ホームヘルプサービス事業従事者の入門研修 非常勤・登録型の介護ヘルパーとして訪問介護サービス事業に従事している者または予定者 50時間
介護職員初任者研修 介護サービス事業従事者の基礎研修 介護サービス事業に従事している者または予定者であれば誰でも受講可能 130時間
介護職員実務者研修 介護福祉士を目指す為の養成研修(座学と医療的ケアの実技演習)

座学:450時間
医療的ケアの演習:12時間

介護福祉士の受験資格を得ようとする者

介護サービス事業に従事している者または予定者であれば誰でも受講可能

450時間+α
介護福祉士養成施設
2年課程

基礎分野学習:120時間
専門分野学習:990時間
介護実習:450時間
実習指導:90時間

高卒以上 1650時間

※ホームヘルパー養成研修1級〜3級は旧資格になり、現在行われていません。

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