介護マネジメントにおける4つの経営資源の管理ポイントについて

 サービス提供責任者や介護職員実務者研修レベルの職員は、介護ビジネス於いて最適な介護サービスを利用者に提供するには、人・物・金・情報などの4つの経営要素を適切に管理することが必要になるということも理解しておく必要があります。

マネジメントをプロセス表現したものをPDCAサイクルと呼び、要素として捉えたものが4つの経営資源(人・物・金・情報)になります。

利用者に満足してもらえるような介護サービスを提供するには、次の4つのマネジメント要素が適度にバランスよく管理されることで、実際の介護現場も活性化され、良い環境で介護ヘルパーが業務を行うことで介護事業としても成り立つことに繋がります。

経営資源1:人…人材が最重要

 「人は会社の宝だ。」「人材が全て」「企業は人なり」というセリフは、世の企業経営者で大きく成功している者がよく口にする言葉です。

人的資源が会社を経営していく上で、どれほど重要なものか、事業運営を実際に行っている経営者が身にしみて感じているいるを言葉だと思います。

特に、サービス業や接客業では最も重要な経営資源になります。

中でも介護サービスは、直接人の生活まで関わる仕事なので、介護ヘルパーの人的資質が顧客満足に決定的な影響を与え、4つの要素の中でも人の重要性の比重は大くを占めています。

実際、訪問介護サービスで担当している介護ヘルパーが変更になっただけで、利用者から苦情がくるケースもあり、この事実からも人材が重要であるということは明白です。

介護サービス事業の成否は、利用者やその家庭の事情をよく認識した上で、いかに最適な介護サービスを行えるかによって、決定されると言っても言い過ぎではありません。

単に介護技術が優れているだけでなく、的確に利用者宅の状況を把握し対応できるような資質がある介護人材を、事業所内でどれだけ多く抱えられているかが大きく介護事業の経営に影響してきます。

経営資源2:物…環境・設備は提供品質を決定する

 製品を製造している工場や会社では、その元になる原材料や設備機器、完成した製品などの質が、会社経営の成否を決定づける大きな要素になります。

また、東京ディズニーランドやユニバーサルジャパンなど遊園地のサービス業においても、場内の施設や遊具設備は最も重要です。

集客効果を上げるために、新規パビリオンを出典したり、遊戯施設を定期的に刷新したり、常に物に注目し投資を行っています。

 介護サービスで経営資源の物に該当するものとしては、次のようなものがあります。

  • 施設サービス(老人ホーム)内の設備・環境
  • 在宅サービス(訪問介護)事業の拠点事務所・器具・備品
  • 訪問介護時の巡回車・自転車・バイク
  • 介護訪問先の利用者宅内の介護用具
  • ヘルパーの7つ道具(エプロン、ハンカチ・タオル、筆記用具、携帯電話、電卓・ミニポーチ、勤務シフト・パンフレット、裁縫用具)

経営資源3:金…資金は会社の循環血液

 どんな事業でもお金がなければ成り立ちませんし、資金も上手くまわって行かないとキャッシュフローが滞り 経営が行き詰ってしまいます。

介護サービス拠点の建設や事業運営、サービス収入、介護職員の人件費、レンタル費など、収支をしっかり把握し資金繰りを上手く行うことは事業経営を行う上でとても重要なことです。

ただし、お金の管理は他の3つの要素との関連性があり、単独で考えるものではありません。

人、物、情報などの要素を全体的に考えてバランスを見る必要があり、何に資金をいくら投資して、どのくらいの収益を見込めるのか費用対効果で判断し、事業展開の程度に応じて資金配分を行っていくことが重要です。

この判断を誤れば、大きな損失を被ることになります。

経営資源4:情報…情報は経営判断の源

 上記の3つの要素以外に、情報などの外部環境や時間管理も経営資源にあたります。

事業運営を成功させるには、社会に氾濫する多くの情報から意味ある有益な情報を収集し、マネジメントの質を向上させて、経営に活かせるように努める必要があります。

訪問介護サービスの場合は、要介護者に関連する次のような情報を把握することが重要です。

  • 利用者の心身状態
  • 居宅の生活環境
  • 家族や家庭の事情
  • 周囲の地域環境
  • 通院先の医療機関や医師

 事業を行う際も決められた期間内で利益をあげていくことが必要になるので、どのような仕事にも時間の限度があり、計画で予定された時間をいかに有効に使用して成果を上げていくかということも介護マネジメントでは大切な要素になってきます。

利用者に最高の介護サービスを提供できるかどうかは、4つの経営資源である人・物・金・情報をいかにバランスよくマネジメントしていくかにかかっており、取り組む経営課題によって重要度については、都度異なってきますが、企業を発展させていくには欠かせない要素です。

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