介護福祉士に必要な介護理念・適正・倫理観・資質・職種について

介護福祉士には介護理念を活かした実践力が必要になる

 介護福祉士は利用者の身体面の介護だけでなく、精神面に関してもサポートすることが求められます。

本来の介護とは、利用者の身体面に対する手助けだけでなく、メンタル面や社会参加など、利用者が生きていく上で障害を取り除けるよう総合的な観点からサポートすることです。

 介護福祉士は、この介護理念を現場で実践に移すためには、下記事項を行動指針として認識しておく必要があります。

  1. 利用者の尊厳の保つ
  2. 利用者の自立支援を行う
  3. 利用者の残存機能を活用する
  4. ノーマライゼーションの実現を目指す
  5. QOLの向上を目指す

これらが介護の基本理念であり、知識として知っているだけではなく、現場で実践できる行動力と技量が求められます。

介護福祉士が備えるべき適正

  1. 障害・虚弱・高齢にある要介護者の心理状態や気持ちを正しく認識し理解しようとする姿勢。
  2. 利用者の人生、生活習慣、価値観、人間観などを会話・観察などから読み取る理解力。
  3. 利用者の意思や考えを尊重する気持ち。
  4. 利用者の体調や感情、日常生活上の異変について的確に気付ける観察力。
  5. 利用者の状態や状況に対して最適な支援方法を検討・策定し、提案・助言できるだけの介護専門知識。
  6. 利用者が納得できる論理的根拠に裏づけされた正確で熟達した介護スキル。

介護従事者に求められる倫理

 介護福祉士をはじめとする介護従事者などが必ず遵守することが求められる介護倫理とは、次のような内容になります。

@信用失墜行為の禁止
金銭面、時間面、約束事などについて、第三者から疑念・不信を持たれるような言動は厳重に慎みこと。

A秘密保持義務
業務上知り得た利用者やその家族に関する個人情報を第三者に他言又は漏洩させてはいけない。

B医療関係者との連携義務
利用者の容態変化にいつでも対応できるよう医療専門職である医師・看護師などと、密に連携しチームケアを行えるような姿勢で臨むこと。

C資格名称の使用制限
現場で介護・相談・援助などの業務に従事する場合、介護福祉士や社会福祉士の資格を持っていない介護職が、その資格名称を所持しているように名乗ったり、記載したりしてはいけない。

ちなみに、日本介護福祉士会の倫理要綱には、次のように記載されているよです。

  1. 利用者本位・自立支援。
  2. 質的向上への研鑽・専門的なサービス提供。
  3. プライバシーの保護。
  4. 医療・保健・福祉との連携と総合的なサービス提供。
  5. 利用者の真のニーズを把握と代弁者の役割。
  6. 地域の福祉推進と住民への関わりと働きかけ。
  7. 介護を担う後継者人材育成への貢献。

介護福祉士に求められる資質

 2000年の介護保険法が施行される直前に有識者や専門家により、今後の介護・福祉専門職の教育課程のあり方が検討されています。

その検討会では下記に示す資質を身につけることが介護福祉士として望ましいという意見が大勢を占め介護福祉士として期待される理想像が示されました。

  • 教養を幅広く身に付け、感性や受容性豊かな人間性を養い、コミュニケーションを上手く図り、利用者やその家族との信頼関係を構築すること。
  • 利用者の状態や状況を的確に判断し、それに見合った具体的な介護方針を決定して実行し、実施状況をモニタリングして効果検証できること。
  • 要介護者の人権や生命を尊重しながら、自立支援に重点を置いた介護を行えること。
  • 医療・保健・福祉分野に従事する専門職とも連携・協力して介護を行えること。
  • 自分自身の資質や能力を向上させるべく自己研鑽すると同時に後継者の人材育成にも貢献すること。

介護の職種と資格を生かせる職場

 介護福祉士などの介護資格を取得することで、その専門性を活用し役立てることができる職種は多くあります。

在宅の職場はホームヘルパーが多く、施設の職場はケアワーカーが多く働いていますが、されぞれ介護業務に従事している職員の呼び方には、次のようにいろいろな名称があります。

ケアワーカーとは

 ケアワーカーは、介護を必要とする高齢者などの介護に携わっている方の総称として呼ばれているのが一般的で、通称みたいなものですが、介護職員が正式な職種名です。

特に高齢者や障害者の入所施設に従事している介護福祉士などの介護職員をケアワーカーというケースが多く、一般の介護や介助を行っている方でもケアワーカーと呼ばれていることがあります。

ホームヘルパーとは

 在宅介護に従事している職員をホームヘルパーと呼ぶ場合がほとんどで、ケアワーカーということはまずありません。

介護保険上の介護給付や予防給付での居宅サービスに従事する訪問介護員と同じ意味です。

ホームヘルパーの所属先には、在宅介護支援センター、居宅サービス事業所、ヘルパーステーションなどがあり、ホームヘルパーは介護職員全体でも多くの比率を占め、登録型や非常勤の勤務形態で働いている方が多い職場です。

生活支援員、生活相談員、生活指導員とは

 生活支援員は、高齢者や障害者が入所している身体障害者施設や知的障害者施設に多く従事している職種になります。

生活相談員は特別養護老人ホームなどの介護老人福祉施設に従事し、生活指導員は保護施設などに従事している職種になります。

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