気管カニューレとは
自分の力では呼吸をしにくい方には、気管内挿管の処置を行う方法もありますが、次のような場合は、気管切開の処置がとられます。
- 病状により気道が狭くなっている場合
- 気管内挿管が2週間以上の長期に及ぶ場合
気管切開後は、喉に穴を開け、そこからカニューレ(チューブ)を気管内に入れ、気道を確保することで呼吸が楽になります。
また、気管内挿管とは、気管支から左右の肺に分岐する部分まで、□又は鼻から管を挿入し気道を確保する方法のことです。
気管カニューレの構造と役割について
気管カニューレの構造は次のようになっており、介護職は、気管カニューレの内部のみに限り、痰などを吸引することが可能です。
- カフ
咽頭、鼻腔内の分泌物が気管内に流入しないようブロックする役目があり、カフ上部に分泌物が溜まります。 - サイドチューブ
分泌物がカフ上部に溜まった場合、サイドチューブから吸引します。 - パイロットバルーン/サイドバルーン
パイロットバルーンからエアーを注入し、カフ内の圧を調整します。
気管カニューレの種類
吸引方法はどの種類もほぼ同じですが、吸引手順は多少の違いがあるので、しっかり確認してから行うことが大切です。
また、気管カニューレには、次のような種類があります。
気管カニューレ内吸引の注意点
通常人間が呼吸する場合は、鼻から吸い込んだ空気が咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支の順番で肺まで供給されます。
呼吸のしくみ
このとき、鼻腔や咽頭の粘膜で埃や菌が除外され、きれいな空気が肺に供給されますが、気管カニューレは無菌状態の気管内と直接繋がっているので、清潔を保つことを怠っていると肺炎や気管支炎などの感染症を発症させる危険性が高くなります。
吸引時の注意点として、次の2点が挙げられます。- 口腔・鼻腔からの吸引よりも、さらに清潔を保ちながら吸引することが重要になります。
- 吸引チューブで口腔・鼻腔の吸引を行った後、使用したチューブをそのまま気管カニューレ内吸引に流用することは厳禁です。
逆に気管カニューレ内吸引で使用した吸引チューブを口腔・鼻腔吸引で流用するのは問題ありません。
吸引前の観察事項
次に挙げる項目を観察して異常が1つでもあれば、吸引を中止し医師や看護師に迅速に報告することが大切です。- 出血が気管カニューレ周辺に見られる
- 平常時より体温が高い、
- 平常時より極端に血圧が低い
- 下痢や腹痛がある
- 気分が悪く吐き気がある
喀痰吸引を行うために必要な主物品
- 痰吸引器
- 吸引カテーテル
- 精製水や滅菌水
- 吸引カテーテル保存容器
(滅菌のため煮沸可能なものが必要ですが、使い捨て吸引カテーテルを使用する場合は容器は不要です。) - アルコール綿
- 使い捨て用手袋
- 速乾式擦式手指消毒剤
- 洗面器・うがい受け
- タオル
- ピンセット(セッシ)
- セッシ立て
- パルスオキシメーター
(血液中の酸素濃度(動脈血酸素飽和度)を計測できる医療機器で、酸素療法を実施している場合は必要になります。)
画像引用元:
独立行政法人 国立長寿医療研究センター
気管切開吸引パンフレットより
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