介護施設で働く介護職員
ここでは、高齢者向けの入所施設における介護サービスについて見ていきます。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護保険制度では介護老人福祉施設として老人福祉法上の特別養護老人ホームが指定されているので、このように2つの呼び名があります。
介護職員は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に勤務している方が入所施設に従事している全体数の内でも多数を占めます。
特別養護老人ホーム、認知症や寝たきり状態の方で日常生活を自分の力だけでは過ごすことが難しく、なおかつ介護を自宅で受けることも難しい状態の高齢者などが、介護施設に入居し手助けを受けながら日常生活を営むための施設です。
規模が大きい施設で多くの介護職員が介護が常時必要とする高齢者を、24時間交代で介護を行います。
介護職員は、直接患者に接する身体介助である食事・排泄・入浴・リハビリなどの介護・介助を行ったり、レクリエーション指導など、全般的に入居者の生活に関わり手助けや援助を行います。
24時間交代勤務で介護を行うので夜勤があるのが一般的で、体力的にもきつい職場ですが、勤務年数や経験が長くなると管理職やケアマネジャーになるチャンスもあり、日勤での就業形態で仕事をできるようになる場合もあります。
訪問介護などとは違って同じ施設内に多くの職員がいるので、新人の場合は先輩から業務について丁寧に教えてもらうことができたり、休暇については調整し交代で休めるという利点があります。
また、身体介護や心のケアに介護職員は専念・集中して取り組めます。
なぜなら仕事が分担制となっており、外部業者や専門スタッフが調理・洗濯・掃除などを行うような体制がとられているからです。
職員には看護師、理学療法士、管理栄養士、社会福祉士などの専門分野のスタッフもいるので、一緒に働くことで、専門職としての考えや意見を聞き参考にできるため、幅広い知識を習得することも出来ます。
なお、現在注目されている地域密着型介護老人福祉施設(定員29人以下)は、介護保険法が2006年に改正された際に制度化され施行されています。
養護老人ホーム
養護老人ホームは、介護が常時必要な方はほとんどおらず、介護保険上の施設サービスには該当しません。
65歳以上の次のような状況にある日常生活に困っている方が入居し日常生活をおくる施設になります。
- 経済的な問題により生活が困難な方
- 同居できる家族がいない方
養護老人ホームに入所しているのは高齢者の方なので、生活をおくる中で老化により身体機能の衰えなど介護予防が必要となる人もでてくると考えられるので、学んだ介護の知識や技能を発揮できる機会もあるでしょう。
軽費老人ホーム(ケアハウス)
軽費老人ホームは、介護付きのアパートのようなもので、基本的に介護サービスを行う施設ではありません。
事情により家族と同居できず、60歳以上の独身か夫婦の方が無料か格安費用で入居することが可能です。
食事提供を行うA型、自炊前提のB型、外部委託の居宅介護サービスを利用できるケアハウスなどがあり、介護保険制度上では在宅サービスとなり利用する介護サービスは保険給付の対象になります。
有料老人ホーム
入居希望の高齢者が施設運営事業者と個別契約して、全額利用料金を負担し入所生活をおこることができる施設です。
日常生活での食事や身体介護などの支援が受けられところもありますが、サービス内容は運営施設によって質や種類は様々です。
有料老人ホームは特別養護老人ホームと共に平成16年以降急激に年々増加し続けています。
認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症高齢者の介護を専門に行っている施設が認知症高齢者グループホームになります。
グループホーム少人数で認知症高齢者と介護スタッフとが家庭的な雰囲気の中で一緒に共同生活を送れる施設です。
グループホームは民家などを改築して一般の家と同じような環境で生活できるため、一見すると施設入所サービスのように思えますが、実際の介護保険制度上では居宅介護サービスの対象になります。
グループホームの大きな特徴は、施設サービスのように1日の日程があらかじめ決められていない事です。
普通の一般家庭と同じような生活環境で1日が過ぎていきますので、就寝や食事の時間は決められておらず、食事も利用者と相談し嗜好に合わせてメニューを決めたりするところも多くあります。
また、利用者は掃除、洗濯、調理、買い物などの内、自力ででできることを介護者と一緒になって行います。
特別養護老人ホームのように利用者が一方的に介護を受けるという状況とは大きく異なっています。
実際の介護職員の業務は、24時間の夜勤を含めたシフト勤務体制で状況に応じた介助や見守りが必要になり、少ない職員数で少ない利用者の介護を行うため、介護スタッフ一人だけで夜勤を担当しているグループホームもあります。
認知症の方でも家庭的で落ち着いた生活をしスタッフも適切に介護を行っていると、認知症特有の問題行動も減少して、少ないスタッフ数でも対応可能な場合が多いようです。
但し、緊急事態や突発的なトラブルが発生した場合は、少人数で対応する必要に迫られるので、沈着冷静・臨機応変に対処する力が要求されます。
医療施設で働く介護職員
介護老人保健施設や介護療養型医療施設は、医療施設に該当し病気治療が目的となり、高齢者で長期療養を要する方のために生活支援を担う介護職員が配属されている施設があります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、医療機関と特別養護老人ホームの2つの機能を合わせ持った位置付けにある施設と言えます。
病院などに入院して治療を行う必要はなく病状は安定していますが、自立して在宅生活を行うことが困難な高齢者を対象にして、日常生活を営めるように医療・介護の両面からサービス提供を行います。
施設規模も大きく、医療スタッフと連携し介護を行うことが多いのも特徴ですが、それ以外は特別養護老人ホームと同じ様な業務内容になります。
介護療養型医療施設
一般の医療機関とは違い、長期療養に適した次のような体制が備えられている医療施設になります。
- 居室の床面積や廊下など通路の幅が広く設計されている
- 食堂、浴室、機能訓練室、談話室などが設置されている
- 介護職員の配置に重点が置かれている
但し、2017年度末までに介護療養型医療施設は廃止されることになっており、今後新たな入居者は介護老人保健施設などが中心となって対応していくことになっています。
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