介護事業者などが喀痰吸引等の業務を利用者に対して実施する場合は、都道府県知事の登録が各事業所単位で必要になります。
また、登録する際に必要となる要件としては、下記に示す2項目について定められた基準をクリアしている必要があります。
1. 医療・看護職関係者との連携に関する要件・基準
まず次の各事項について確実に実施することが要件として義務づけられています。
医師や看護職員と介護職と連携して業務を行う場合、文書を介してやり取りするだけでなく、ケアカンファレンスを開催し医療職も参加して直接助言を行うなど、安全に喀痰吸引等サービスが実施できるような体制が求められています。
- 介護職員等喀痰吸引等指示書(下図参照)などで指示事項を文面化して医師は明確に指示を行う。
- 医療・看護職従事する関係者と介護職との連携を確保すること及び、それぞれの役割分担の明確化。
- 喀痰吸引等計画書の立案・作成。
- 喀痰吸引等における実施状況報告書の作成。
2. 安全で適正に喀痰吸引等を行うための要件・基準
さらに医療・看護職関係者との連携だけでなく、次の各事項についても基準が定められ確実に実施することが義務付けられています。
- 介護福祉士で実地研修が未修了の場合は、医師・看護職が講師となり実地研修を実施すること。
- 安全を確実に担保した運営を実施・維持できる組織体制を確保すること。
- 感染症に対する予防措置を行うこと
- 秘密保持を順守すること。
要件クリアのために介護職員等が留意すべきこと
上記に示した要件をクリアするためには、介護職員などは、次の点について意識し留意する必要があります。
医療業務については、リスクが発生する可能性が高い為、医師や看護師などの医療従事者と迅速かつ緊密な連携をとれるようにすることが重要になります。
中でも看護職とは、多くの場面で共に業務を行う機会があるので、コミュニケーションを取り合い理解し合いながら連携して業務にあたることが重要です。
介護や介助を担う介護職員は、自身の体調が良くない場合でも、利用者が困らないようにと無理してでもケアを行うことも少なくありません。
中でも風邪などの体調不良であるにも関わらず、無理して利用者の介護を行ったために、感染させてしまっては大きな問題に発展することもあるので特に注意が必要です。
また、このような状況になった場合は、他の介護職員に担当を変わってもらうべきですが、組織としての体制が整っていないと、実際は現場の緊急事態に対応できずトラブルを未然に防ぐことは困難になります。
安全で適切な介護サービスを提供する為には、現場で起こったヒヤリハットの記録からリスク回避できる方策を全員で検討したり、情報を共有することも大切です。
介護職と医療従事者との情報共有化や連携による組織的な取り組みが、良質な医療を提供する上でも重要になります。
介護職員等喀痰吸引等指示書 見本
宮城県HP「介護職員等喀痰吸引等指示書様式(pdf)」より