2015年度の介護福祉士国家試験から法改正により受験資格が変更になっています。
実務経験ルートの場合、受験資格を得るには介護職として3年以上の実務経験に加えて、介護職員実務者研修の受講修了が義務つけられました。
介護職員実務者研修の全研修課程450時間中、50時間の講義及び実技演習約12時間程度が医療的ケアとして実施されています。
医療的ケアにおける目的・教育内容
目的
医療従事者と連携及び協力しながら医療的ケアの各サービスを正確・安全に提供できるようにするため、喀痰吸引・経管栄養の知識と実施手順などの技能を習得することを目的としています。
教育時間
- 講義(座学)50時間
- 実技演習12時間程度(一般的にはこの受講時間が多いようです。)
習得内容
- 医療的ケアの基礎知識
- 喀痰吸引の知識・実技演習
- 経管栄養の知識・実技演習
以上の医療的ケアの講義・演習を受講修了後に実地研修を受けます。
また、実地研修は就職した介護事業所などで受講できますが、実地研修を修了していない方は現場で医療的ケアのサービス提供はできません。
喀痰吸引等研修と医療的ケアの教育内容比較
基本研修の講義について
喀痰吸引等研修の教育内容と医療的ケアの教育項目を比較すると次のようになります。
表を見てわかる通り実地研修以外は全く同じ内容になっています。
厚生労働省の介護福祉士養成施設における「医療的ケア」の追加についてより
基本研修の講義では、主に次の内容について学びます。
基本研修の講義項目 | 講義の教育概要 |
1項 | 人間の尊厳と自立、介護保険・社会保障・障害者自立支援などの制度について |
2項 | チーム医療の役割や協力体制などについて |
3項 | 喀痰吸引や経管栄養の安全な実施方法などについて |
4項 | 感染予防や消毒方法などについて |
5項 | 心身の健康状態やバイタルサインなどについて |
6項、7項 | 喀痰吸引の知識と技能について |
8項、9項 | 経管栄養の知識と技能について |
基本研修の演習について
口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の各喀痰吸引、胃ろう又は腸ろう・経鼻の各経管栄養については各5回以上、救急蘇生法については1回以上の演習を受ける必要があります。
実地研修について
実地研修は、就業先の介護事業所・施設で受講することもでき、研修は施設利用者に協力してもらい喀痰吸引や経管栄養を行わさせてもらいながら学んでいきます。
但し、実地研修を受講修了していない介護職員はケア業務を現場で行うことはできません。
介護職員が研修を受ける際に意識すべきポイントは次の点です。
- 喀痰吸引での吸引時や、経管栄養で自分の意志とは関係なく流動食が流し込まれる際の辛さ苦しさを相手の立場になって考え、どうしたら利用者にとって楽なケアを実施することができるのかを考察すること。
- ケアを行うことの意味をわかりやすく説明すること。
- ケアを行う際に同意してもらえるように納得できるような説明をすること。
実地研修は、次の項目について実施します。
- 口腔内の喀痰吸引が10回以上
- 鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろう・経鼻の経管栄養を各20回以上
第1号研修ではこれらの全ての項目を実施しますが、第2号研修では、気管カニューレ内部喀痰吸引及び経鼻経管栄養は行うことはできません。
医療的ケアを仕事として現場で実施可能となりましたが、医行為はリスクがつきまとう業務で、利用者側にしても楽なものではありません。
なので、実地研修を終えた介護職員は、看護師や医師など医療従事者と綿密に連携協力しあって安全最優先で業務を行えるように技能向上に努め学ぶことが大切です。