胃ろう・腸ろう経管栄養の実施内容と手順
ああ
実務者研修の医療的ケアで実施される胃ろう・腸ろう経管栄養の実技講習に関しての実施内容と手順や注意点について実技演習動画も含めて詳しく解説しています。
目次 |
胃ろう・腸ろう経管栄養法とは、下図のように胃や腸に小さな穴を開けた管から、栄養剤などを注入する方法です。
1. 胃ろうの構造とチューブの種類について
胃ろうは次の組み合わせによって4種類に分類することができます。
- カテーテルの種類…ボタン式、チューブ式
- 内部構造…バルーン型、バンパー型
【胃ろうの種類】
下図はボタン式のバンパー型の構造で、このパターンが多く使用されるようになっています。
【胃ろうの構造】
2. 胃ろう・腸ろう経管栄養前の確認事項と準備作業
3. 胃ろう・腸ろう経管栄養の注入開始
- クレンメを緩めて栄養剤の注入を開始。
- 滴下速度が、担当医師の指示通りか確認。
- 注入開始直後の利用者の様子を観察し、全身状態に異常がないか確認。
- 注入開始から30分後、注入中の利用者の表情や状態について次の項目を観察。
- 腹痛、吐き気、嘔吐、下痢などが起きていないか。
- 青ざめた顔色をしていたり、唇の色の変色はないか。
- 冷や汗をかいたり、呼吸・脈が乱れていないか。
- 意思伝達ができない利用者の場合、苦しい表情をしていないか。
- 注入後、30分くらいの間隔で定期的に注入中の利用者の状態を観察。
- 体位の状態は問題ないか
- 栄養剤が詰まっていないか
- 滴下速度が適当か
- 挿入部からの栄養剤(流動食)の漏れがないか
4. 胃ろう・腸ろう経管栄養の注入終了後
- 栄養剤の注入終了後、栄養点滴チューブのクレンメを閉めて接続を外す。
- カテーテルチップシリンジを使用して経管栄養チューブに指示された量の白湯を注入し、利用者の状態を観察する。
- 胃ろう・腸ろうチューブのクレンメを閉め経管栄養のチューブの接続を外し、チューブの注入口のストッパーを閉める。
- 注入直後に仰臥位にすると、注入物が逆流するので、栄養剤の注入が終了した後も、しばらく半座位の状態を保つ。
- 手洗いをする。
- 注入後の利用者の状態を観察し報告。
- 体位変換が必要な利用者は、異常がないことを確認し、なければ体位変換を行う。
※体位変換を行うことで嘔吐を誘発する可能性があるので観察は継続する。 - 注入から30分~1時間ほど経過すればベッドを元の状態に戻す。
5. 胃ろう・腸ろう経管栄養の報告・片付け・記録
- ヒヤリハット・アクシデント内容の報告
※些細なことでもリスク管理のために報告することが大切。 - 環境を汚染させないように注意しながら使用物品を後片付けする。
- 物品は確実に消毒液内に浸す。
- 器具の劣化や破損に注意する。
- 経管栄養の実施記録を記載する。
- 各様式に沿って過不足なく記載する。
- ヒヤリハット・アクシデントがある場合も記載する。