医療行為、あるいは医行為は、医師法17条(「医師でなければ医業をしてはならない」)が基本となっています。介護職には医療行為はできないと言いますが具体的に考えてみましょう。
爪切りは医療行為?
介護職は医療行為をしてはいけないと言われますが、その医療行為がどんなことを指すのか、どこまでが日常的な行為で、どこからが医療的な行為なのかなどの線引きがハッキリしないことで、いろいろな論議が巻き起こります。
数年前まで、爪を切ったり、体温を測るのも医療行為なので、介護職は利用者の爪を切ってはいけないといわれていました。
一般的に、心身に危険を伴う行為は医療行為と考えられていますから、確かに、刃物を使う爪切りもリスクはあるという解釈でした。
医師法第17条とは
医療行為は医師法第17条歯科医師法第17条、そして保健師助産師看護師法第31条の解釈を元に考えられるとされています。
ではそれぞれの法律では、どのように定められているのでしょうか。
まず、医師法第4章(業務)の第17条とは、「医師でなければ、医業をなしてはならない」
次に、歯科医師法第4章(業務)の第17条とは、「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてなならない」
そして、保健師助産師看護師法第4章(業務)第31条とは、「看護師でない者は、第5条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法又は歯科医司法の規定に基づいて行う場合は、この限りではない」
(第5条「この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者もしくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう」)
以上のように法律からでは具体的なことは分かりません。 そこで、それぞれの立場でいろいろな解釈がされていたわけです。
介護者が行えるとされる行為
厚生労働省は介護職が行える医療機関以外の高齢者介護・障害者介護の現場等において判断に疑義が生じることの多い行為であって原則として医行為ではないと考えられるものを下記のように列挙しています。
医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うことが適切か否か判断する際の参考として下さい。
- 喀痰吸引(介護福祉士)
- 経鼻経管栄養(介護福祉士)
- 水銀体温計・電子体温計により腺下で体温を計測すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測定すること
- 自動血圧測定器により血圧を測定すること
- 新生児以外の者であって入院治療の必要でない者に対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメータを装着すること
- 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(汚物で汚れたガーゼの交換を含む)
- 爪やその周囲に異常がなく、糖尿病などの疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合、その爪を爪切りできること及び爪ヤスリやすりがけすること
- 重度の歯周病がない場合、口腔内の刷掃・清拭において、歯ブラシや綿棒を用いて、は、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすること
- 耳垢を除去すること
- ストマ装置のパウチにたまった排泄物を捨てること(肌に接着したパウチの取り替えは除く)
- 自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと
- 市販のディスポーザブルグリセリン涜腸器(条件あり)を用いて洸腸すること
など。