通所型介護サービス、宿泊型介護サービス(ショートステイ・複合型介護施設)の職場、ケアマネジャーの主な職場、通所介護(デイサービス)での介護職員の1日のスケジュールについて紹介しています。
通所型介護サービスの職場は日勤がほとんど
利用者に施設まで通ってもらう通所型介護サービスには、次のようなサービスがあります。
- 通所リハビリテーション:
施設に通い、リハビリテーションを行うサービス。 - デイサービス(通所介護):
施設に日帰りで通い、生活全般的な食事介助や入浴介助などを受けながら過ごしてもらうサービス。
通所型介護サービスの職場では、利用者は日帰りの通いなので、介護職員の勤務形態は昼間のみ仕事を行う日勤サービスが基本で夜勤はありません。
但し、朝と夕方になれば自宅と施設間の送迎を行う必要があり、1日の介護業務全体の内、相応の時間がかかることになります。
そのため、出勤時間を早番・遅番などでずらした時間帯に勤務する体制になっているの職場がほとんどです。
大勢の利用者に対応するため職員も多くの人数で介護にあたることが一般的なので、分担して介助・介護を行うことになります。
なので、昼食時の調理業務や送迎車での運転業務については、外部の専門業者に委託している施設が多くあります。
通所型介護施設で勤務している介護福祉士の全体に占める割合は、通所介護施設は約8%、通所リハビリテーション施設は約1%程度となっています。
宿泊型介護サービスの職場には複合型の施設もある
ショートステイ(短期入所生活介護)の職場
ショートステイ(短期入所生活介護)は宿泊型介護サービスの一つですが、主に次のような目的で短期間ですが介護を要する高齢者に入所してもらいサービス提供を行う介護施設です。
- 自宅で介護を行っている家族が旅行や冠婚葬祭・仕事などで用事があり一時的に介護をできない場合
- 家族が身内の介護をで身体的・精神的に疲弊した際、抱える介護負荷やストレスを軽減し休んでもらう場合
ショートステイ(短期入所生活介護)のサービスを提供する施設には、次のようなパターンがありますが、施設に併設してサービス提供を行っているところが多くを占めています。
- ショートステイのみを提供している施設
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に併設
- 介護老人保健施設に併設
介護職員の勤務体制としては、例えば介護老人福祉施と併設してショートステイを行っている場合、施設で決められた勤務シフトに順じているところがほとんでのようです。
ショートステイ(短期入所生活介護)に勤務している介護福祉士の割合は全体からすると数%と低い値になっています。
複合型介護施設の職場
小規模多機能型居宅介護については、介護保険が2006年から適用されたこともあり、訪問・通所・宿泊の介護サービスを複合的に提供しているサービスになります。
地域密着型で少人数で提供されているサービスなので、グループホームと同じような運営状況もあり、介護スケジュールも一定して決められないという部分もあります。
但し、小規模多機能で利用者が日常生活を営んでいるわけではないので、勤務形態は日勤が基本になり、夜勤もほとんどありません。
また、デイサービスと同じように利用者の食事の調理作業や送迎運転は外部委託するなど、介護職員とは別に専門スタッフがいます。
ケアマネジャーの主な職場
上記のショートステイ、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設などには介護福祉士が働いていますが転職する場合、ケアマネジャーの資格を取得し、居宅介護支援事業所に移って働くという方法もあります。
ケアマネジャーになるには、介護福祉士資格の保有者で、介護の実務経験を5年以上積むことで、都道府県が実施する試験を受験し合格した後、実務研修を修了すればケアマネジャーとして勤務することが可能になります。
ケアマネジャーの正式名称は介護支援専門員ですが、居宅介護支援事業所においては介護サービスの利用者に対してケアプランを策定して1ヶ月程度のモニタリングを実施し見直しを行ったり、ケアプランに従って提供する介護サービス事業者との仲介役という役割も担います。
介護サービスを提供してからも利用者の状態に変化があればケアプランの見直し改定を行います。
その後、5年以上ケアマネジャーとして業務経験を積むと、主任ケアマネジャーになることができ、地域包括支援センターに勤務し仕事をすることも可能になります。
2006年介護保険制度改正に伴い地域包括支援センターが設立され、相談業務についても幅広く担うように支援状況が変化したために、現在では在宅介護支援センターが担う業務範囲は少なくなってきました。
ちなみに介護保険制度改正前の在宅介護支援センターは、在宅で生活する高齢者の介護支援、その家族からの介護相談、介護福祉に関する情報提供などの役割を担う機関でした。
ここでも介護のプロである数多くの介護福祉士が利用者や家族からの介護に関する様々な相談に応じていました。
通所介護(デイサービス)での介護職員の1日
通所介護(デイサービス)で働く介護職員の1日の仕事のスケジュールや業務内容について紹介しています。
通所介護は多くの利用者を送迎するので気配りや神経を使うことも
通所介護(デイサービス)では、仕事が始まる8時30分になると利用者宅へ送迎車が出発するので、介護職員は朝8時30分より前に出勤し、準備を事前に済ましておくことが必要になります。
迎えに行く利用者の氏名と到着時刻、自分が同乗する車のナンバーなどをホワイトボードで確認しておきます。
申し送り事項の有無についても業務日誌を見て確認しておきます。
送迎車は通常数台あり、運転する者と介助する者の二人一組になり車に乗り送迎を行います。
通所介護の場合は、利用者の人数分の自宅に行く必要があるので、迎えに行く利用者名と時間、注意事項などが記載されている送迎記録を順次確認しながら迎えに行くことになります。
連絡する必要がある利用者宅には、到着時間を携帯で伝えておき、利用者宅に着くと玄関前で待っている利用者が送迎車に乗り込むのを介助します。
同居家族がおらず一人暮らしの高齢者の場合は、玄関のドアの鍵がしっかりかかっているかも確認します。
中には家族と一緒にオートロックマンションに住んでいる方もいますが、インターホンで連絡しマンションの入り口ドアを開けてもらい、部屋の玄関まで迎えに行き、車まで利用者の荷物を持って誘導していきます。
誘導する時は、利用者のペースに合わせ声をかけながらゆっくり付き添って歩いて行きます。
複数の利用者宅を回り送迎車の定員数を乗せると、一旦介護施設に戻り利用者を降ろし、車から降りた利用者は職員が施設前で待機しているので任せて、残りの利用者宅に向かいます。
このような送迎作業を数台の送迎車で日々数回繰り返して送り迎えを行います。
送迎作業が完了すれば、ロッカーに利用者の荷物を保管し、通所している利用者の氏名と到着時刻をホワイトボードに記入します。
通所施設の利用者数は各施設の規模によって違い、日に数十人から数百人いるところもありますが、通所に関しては毎日来る方や週に数回しか来ない方などバラバラなので、迎え先や送迎ルートは日々異なります。
毎日、多くの利用者を交通事故など安全に注意しながら確実に送迎し、気分良く通所してもらうために介護職員には細やかな気配りが必要になります。
なので、通所してもらってからの介護より神経を使う場合もあるようです。
朝会の準備作業
レクリエーションがある場合は、送迎が終了すれば準備に取り掛かります。
音楽CDと歌詞カードを用意し歌の練習ができるようにし、日付や昼食献立をホワイトボードに記入したりします。
準備している間は、他の介護スタッフが利用者を介助し入浴を順番に済ませてもらいます。
入浴待ちの利用者には、手芸など自分の好きなことをしてもらったり、リハビリが必要な方は受けてもらったりします。
朝の会の準備が終了すれば利用者の様子を見て回り、利用者と一緒になって手芸を手伝ったりしながら、各利用者の様子や状態を介護記録として残すようにします。
朝会の時間
11時の朝の会の時刻になれば担当の介護職員は前に立って挨拶をし利用者に集まるように呼びかけます。
みんなが集まれば、利用者と一緒に今日の日付・曜日・天候・昼食の献立などを読み上げていきますが、この意味は、認知機能の衰えを防止する訓練も兼ねています。
人は高齢になると自分のいる場所や置かれている状況、今日の日付や曜日などを把握する見当識という認知機能が衰えてくるからです。
今日の1日の予定日程を説明したあとは、利用者が関心を示すような話題を取り上げて、その場を盛り上げますが話題探しは介護職員の腕の見せ所でもあります。
それからは誕生日会の歌の練習や簡単な打楽器などの練習をしたり、身体機能を維持するための脚の引き寄せなど音楽に合わせてリハビリ体操などのメニューが組まれています。
交代で昼休憩は行い休憩時間は日によって変わることも
朝の会が終了し12時からの昼食時間前になると、口腔ケアに力を入れている施設では、利用者全員で口の体操を行うところもあります。
食事前に何をするかというと介護職員が前に立って音頭をとり、利用者の唾液の出を良くするために、歌を歌ったり言葉や文章を音読したりして、口を動かし周りの筋肉をほぐしていきます。
口の体操も終わり、午前中の入浴介助が終了した職員と変わってもらい、便所掃除を済ましたら12時から1時間ほどの昼休憩に入ります。
但し介護職員は一斉に昼休みをとることは難しく交代で順次休むことになります。
利用者は12時30分から昼食なので、昼休みに入っていない介護職員が食事の配膳作業を行います。
通所の場合は食事介助を要する高齢者が少ないので、自分のスタイルで食事をしてもらいます。
介護職員の昼休憩は持参した弁当を食べる人や外食する方など、当日担当する業務により異なりますが、12時頃から30分刻みでずらして交代で休憩を取ります。
昼休憩が終了すれば午後の勤務が始まり、利用者のお膳を片づけたり、食後の歯磨き介助を行ったりします。
午後のレクリエーション・おやつの時間
午後のレクリエーション活動の時間までは、利用者とトランプやカルタなどを一緒にしながら、各自のの様子を観察して記録に残します。
レクリエーションは職員が考えることが多いですが外部ボランティアの方が催してくれる場合もあります。
15時前後にになると、お茶やおやつタイムを設けている施設がほとんどで、担当の介護職員は看護師と相談し利用者の健康状況に配慮しておやつを決めます。
利用者の帰りの送迎作業
おやつの時間が終わり30分ほどすると利用者の帰宅準備に取り掛かります。
どの利用者からどういうルートで自宅へ送るかを確認し、最初に帰宅する方からトイレを済ましてもらい、車に定員数の利用者を乗せ荷物の積み込みが終われば出発します。
作業は朝の迎えと同じ要領で数台の送迎車で何回か送迎を繰り返します。
近場の方だけでなく遠方からの利用者もいる場合は、送迎に時間がかかり定刻の勤務終了時間までに終わらない場合もあります。
送迎時間が長引いた場合は、明日の準備をするために終業時間を過ぎることがありますが、朝は送迎などで忙しいので前日に必要な準備は済ましておく必要があります。