介護福祉士(正規職員)やパート(非正規職員)の給料や資格手当の相場などについて紹介しています。
介護職員の給料の実態は?
介護の仕事に従事している方にとっては、どのくらい給料をもらうことが出来るかは最大の関心事です。
いくらやりがいがある仕事であっても、日々普通に生活していけるだけの給料がないと、仕事を続けていくことは難しくなってきます。
また、収入は社会的・能力的に評価された結果とも言えるので、仕事をする上でも誇りにつながる評価基準ともいえます。
仕事をしていく場合に給料や収入を考えるのは当然のことで、決して金銭に対する執着心などではありません。
介護福祉士(正規職員)の給料はどのくらい?
次に、介護職のプロである介護福祉士の場合、一般企業の従業員と比較してどのくらいの給料があるのでしょうか。
介護職に対する収入の実態は、社会福祉振興・試験センターの介護福祉士等現況把握調査、日本介護福祉士会の介護福祉士の就労実態と専門性の意識に関する調査などで公表されています。
正規職員の介護福祉士がもらっている毎月の給与は、今から7年前ですが最低は15万円、最高は25万円程度で、平均すると20万~22万円くらいのようです。
この金額には、通勤費以外の各種手当を含みますが賞与は含んでいません。
現在でも以前と比べて給与水準は上がっていますが、平均的給料については、一般企業の会社員より低い状況が続いています。
但し昇給については、実務経験年数が長くなるに伴い給料も徐々にですがアップしています。
賞与に関しては、平均で40~50万くらいですが、中には賞与がゼロという方も4人に1人はいます。
パート(非正規職員)の給料・時給はどのくらい?
一方、正規職員ではない介護職として働く方の給料や時給は、どうでしょうか。
社会福祉振興・試験センターのデータでは、パートなどの非正規職員の時給の平均額は1100円前後です。
最も比率が多いのは1000円~1500円未満の方が約51%で、次に多いのが800円~1000円未満の方で約37%となっています。
この額は地域に関係なく全体平均の金額なので、他の職種と比べても低い金額ではありません。
資格保持者は高い評価と厚い待遇の可能性が
資格を取ったことは、給料には反映されるのでしょうか。
社会福祉振興・試験センターの実態調査では、介護福祉士として働いている職員の内、約45%が資格手当の支給を受けていると結果発表されています。
資格手当は、5000円~1万円未満:13.0%、1万円~1万5000円未満:11%、1万5000円~:10.5% 、1万5000円以上の内で3万円以上は約3%となっています。
資格手当の支給額は介護事業所により異なっていますが、資格手当を持っていることで評価が上がり、給料に反映されるという事業所も多くなっています。
無資格でも仕事に就くことができるのが介護職の利点ですが、資格を取らずに無資格状態で経験を積んでいくら仕事が出来ても、やはり介護福祉士という有資格者と比較すると世間や利用者から見れば当然ネームバリューも落ちます。
有資格者が行う介護サービスは、介護報酬上では評価が高いので、最終的には有資格者が厚遇されるようになっており、介護職員実務者研修の修了後、介護福祉士を目指す方の努力は決して無駄にはならないという事です。
介護職の給料が世間相場より低くなった背景と要因
介護職員の給料が世間相場より低いという状況になっている背景には、介護保険制度が関係しています。
介護保険制度は2000年にスタートしましたが、それ以前は、国や地方自治体が社会福祉施設へ業務委託するケースが多く、補助金なども支給され介護・福祉事業に取り組んでいた経緯があります。
当時は、補助金や委託料の支給金額は、介護・福祉事業を行う上で必要となるマンパワー・職員数に応じたお金が支払われていたので、公務員と遜色ない金額の給料を介護職員はもらっていました。
しかし、介護保険制度が施行されてからは、事業運営で支給される介護報酬から職員の給料を支払うことになりました。
財政負担で賄われている介護費用は年々増加しており、負担軽減という目的もあって、3年毎に改定される介護報酬は引き下げられ、介護職の人材不足も重なり、経営が苦しい介護事業所も少なくなく、介護職員の給料を大幅にアップできずに、今も世間相場より低いのが現状です。
やりがいがある職種でも給料が低すぎると、自分の生活が苦しくなり仕事を続けていくことができなくなってしまいます。
長年、介護職員の離職率が高く職場に人材が定着しないことから、職員不足が原因となって介護サービスの質が落ち悪循環に繋がるという危機感から、2009年には介護報酬を3%アップするなどの対策がとられ、最近でも介護職の処遇改善が行われています。
現在の日本では介護は絶対に必要なサービスであり、介護保険制度は介護職として働いてくれる人がいて、はじめて成り立つ制度です。
今後、介護業界において大幅に給料が引き上げられることはあまり期待できませんが、人材不足は大きな社会問題に発展するため、人材確保に繋がるよう処遇改善は今後も継続して実施されていくと推測できます。
介護職は手堅い職種でもある
以上のことから、介護職は給料が高いとは言い難いですが努力して資格を取得し、実務経験を重ねていくことで、給料や待遇面でも評価されていくことがわかります。
また、誰でもできる工場でのライン作業とは異なり、介護職は専門性の高い資格や実務経験が評価対象となる職種なので、転職する場合、パートなどの非正規職員として一時的に仕事をする場合には有利な職種です。
将来的にも超高齢化社会の真っ只中にある日本では、介護求人が減ることは有り得ませんし、長期的に見ても失業の危険性が一番低い手堅い職種であるといえます。